有名なダイヤモンド(2) 「エンプレス ユジニー」

Four-Cs

Famous Diamond

「エンプレス ユジニー」 THE EMPRESS EUGENIE

全てが大切に扱われるとは限らない

重量:51カラット

カラー:記録なし

クラリティ:「パーフェクト」と記載

カット:オーバルブリリアント

産地:ブラジル、ミナスジェライス?

有名なダイヤモンドの中には、現在その所在が分からなくなったものも存在します。

エンプレス ユジニーもその中の1つです。

エンプレス ユジニーが世に知られるようになったのは、1760年代ロシア大帝国のエカテリーナ2世が髪飾りとして身に着けた時です。

1787年頃、エカテリーナ2世は自分のためにクリミアを征服してくれた、恋人のグレゴリーポチョムキン伯爵にそのダイヤモンドを贈ります。

1835年までポチョムキン家にあったそのダイヤンモンドは、ナポレオン3世が婚約者ユジニーのために買い取ります。

第2帝国が1870年に没落しイギリスに逃れた皇后は、そのダイヤモンドを売って流浪の身を支えます。

その後エンプレス ユジニーは、インドの君主であり世界有数の宝石コレクターでもあるムルハーラオの手に渡りましたが、王の没落後に姿を消します。

1931年に王の子孫の1人がカリフォルニアを訪れた折、GIAの創設者ロバートシプリーは謎の解明を希望して彼を訪問します。

ロバートシプリーは複製品まで用意し所在の確認をしましたが、「あるかもしれないが、それらはかなり小さいし、気を付けて見たことはない」という曖昧な返事しか引き出せませんでした。

結局エンプレス ユジニーは、ボンベイのN.J.ダディ夫人の所有物として再び日の目を見ましたが、彼女の死後再び行方不明となり今日ではその所在が分からないままになっています。(おそらく誰かが見落としたのだろう・・)

エンプレス ユジニーの物語は、ある人にとってはとても重要なことでも、もう1人にはどうでもいいことであり、美はその対象物でなく、見る人の目の中にあるということを物語っています。

本文の参考資料並びにソース:GIA DIAMOND