Color
ひとつだけを光に透かしてもわからないほどですが、ダイヤモンドには完全な無色から薄い黄色まで自然の色がついています。
無色に近いものほど光をスムーズに透過させ、虹色に輝き、希少価値があります。
カラーグレードの違いは驚くほど微妙で、熟練した専門家が理想的な明かりの下で、ダイヤモンドをルース(裸石)の状態でマスターストーンと比較し、初めてその違いがわかるくらいです。
しかしこの違いが、ダイヤモンドの品質と価格に非常に大きな違いを生むのです。
もし、 見た目での透明(カラーレス)にこだわれる場合は、Gカラー以上であれば(比較するのではなく単体で見た場合)肉眼では色付きを判別するのは困難ですし、Dカラーより希少性は下がったとしても、輝きには全くと言って良いほど影響を与えません。
殆どの宝石品質ダイヤモンドの色評価は無色が基準で、完全な無色透明であるDカラーから始まり、Zカラーまでの23段階にグレーディングされます。
現行のカラースケールが一般化する前は、ABCで始まったり123等で始まる明確な定義の無い、独自の用語が様々に使われていました。
これらと混同されると誤解を生むとして、誰もが新しいシステムだと認識出来る様に、以前のシステムとは関連のないものを新たに作成する必要があり、Dから始まるスケールを策定したのです。
カラーのグレードを決めるにあたっては、マスターストーン(標準石)を使い専門家によって検査され、下のチャートのように鑑定されます。
実質的にどんな物体でも白色光を構成する色の一部を吸収しています。
その残りの光を石の基本色として見ているのです。
これを宝石においては地色と呼ばれています。
色には色相(色の基本感覚)、明度(相対的明暗)、彩度(強さ)の3つの構成要素があります。
ダイヤモンドでは、色が無いことは稀なので高く評価されます。
殆どの色は明るい色合い(イエローイッシュ、ブラウニッシュ、グレイッシュ)を帯びています。
カラーグレーディングにおいては地色を考慮し、その色の深み(明度と彩度の組み合せ)について、最も稀なD(無色)からZ(ライトイエロー)までのスケールでグレーディングされます。
各グレードは、単一の色合いというよりは、狭い色の範囲を表しています。
また、ファンシーカラーダイヤモンドは、明瞭で魅力的な自然の色合い(Zカラーより深いイエローおよびブラウン、グレー、およびオレンジ、ブルー、グリーン、ブラック、バイオレット、ピンク等もっと珍しい色)をしています。
Dカラー / Hカラー / Nカラー / Zカラー - 出典 GIA
単一元素の炭素のみで構成され、結晶構造も完全なダイヤモンドは、可視光線を吸収しないため無色透明となります。
ただこれは理論上のみで、実際のダイヤモンドは不純物元素(窒素や硼素等)や原子の欠落、結晶格子のゆがみがあり、それらが特定の可視光線を吸収し、その結果として色を発生しているのです。
不純物元素の含有は、原子配列の均一性にも影響を及ぼします。
完全な結晶構造と不純物元素を含まない状態に近づくほど色相の形成が無くなり、ダイヤモンドも完全な無色透明に近づくのです。
多くの場合カラーは色という観点で見られますが、一般的にカラーグレードが上がるほど完全な原子配列に近づく事から、光学特性もより優れたものになります。
ダイヤモンド原石の良し悪しと、ダイヤモンドのカラーの要因には密接な関係があります。
原石の原子配列のズレと不純物元素の含有が多くなるほど色の要因を形成し、逆に完全に均一な原子配列と全く不純物元素を含まない状態に近づくほど色の要因が無くなり、ダイヤモンドも完全な無色透明に近づきます。
宝飾用ダイヤモンド原石の中で理想的な原子配列に近いとされるソーヤブルと言われる8面体原石でも、その中からDカラーのダイヤモンドが見つかるのは非常に稀な事なのです。
カラーグレードが優れるという事は、より純粋な(優れた)原石からカッティングされた証と言えるのです。